デジタル利用の法的リスク

生成AI使用に潜む落とし穴

使い方次第で加害者に

デジタルサービスは、ビジネスに携わらなくても一個人が広く社会とつながることができるツールです。便利な一方、使い方を誤れば加害者にも被害者にもなる恐れがあります。時には法を犯すかもしれません。

1 他人の作品を使用すると著作権侵害に

意図せず加害者になりかねないという点で最も注意が必要なのが、著作権侵害です。文章、画像、音楽などは作者の死後70年もしくは企業などによる公表後70年、著作権で守られています。この保護時期期間内に著作権者に無断で使うと著作権侵害を問われる可能性があります。家庭内で鑑賞するなど私的な利用には許可は必要ありません。しかし、無断でインターネットで公開したり大量のコピーを配布したりするのは原則違法です。
問題になるのは、自分で丸写ししたデッドコピーだけではありません。この2〜3年で急速に普及した生成AIを、趣味や勉学に活用し始めた方も多いかと思います。生成AIはプロンプト(指示文)を入力することで文章や画像などを簡単に作り出すことができます。しかし、他人の作品と表現が似ているものを生成してネットで公開すると、著作権侵害となる可能性があります。

2 生成AIで作風を意図的にまねて公開するのはリスク

より危険なのは、特定の画家などの名前をプロンプトに入れて「誰々さん風の絵を描いて」などと指示することです。著作権法は作風は保護しませんので、雰囲気が似ていても表現の創作的な部分が似ていなければ著作権侵害にはあたりません。しかし、実際には作風が似ているだけなのか、表現まで似てしまっているのかを法的な観点から見極めることも非常に困難です。

3 炎上などの社会的影響リスクもある

有名なクリエーターにはファンも多いです。断りもなく作品をまねたり改変したりしたものを公開したら、ネット上で炎上しかねません。情報発信する際には、法を犯しているかどうかだけではなく、関係者の気持ちに配慮するなど、その情報が社会に与える影響に想像力を働かせることも必要になります。

4 表現の自由とは

日本の憲法は「表現の自由」を保障しています。批判的な意見や感想をネットに投稿することは表現の自由の範囲内でしょう。言論の匿名性を守ることも民主主義の維持に重要な要素です。ただ、どういった表現なら法的に許容されるかはケース・バイ・ケースで、他人の権利を侵害する自由まで保障しているわけではありません。

5 匿名投稿も発信者の特定は可能

匿名投稿も、権利が侵害されたと感じた人の請求を裁判所が認めれば、発信者を特定することは可能です。意見を投稿する際には、仮に自分が名誉毀損などで訴えられてもきちんと申し開きができるかどうか、そもそもそうした法的紛争に巻き込まれるリスクをどう考えるか、ひと呼吸置いて考える習慣をつけることが重要です。

6 最後に

最後に触れたいのは情報漏洩リスクです。企業には外部に公開されると事業を円滑に進めるうえで支障が出る情報があります。アルバイトや就職活動をする中でそうした情報を得る機会があり、企業から口外しないように要請された場合、その情報をネットで公開することには慎重になるべきです。最悪の場合、秘密保持義務違反や不法行為となる恐れもあります。情報の持つ影響力とリスクに敏感になっていないといけない時代となりました。

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