訪問介護の壁は高く、厳しい条件が影響
外国人材、訪問介護が担えるよう制度変更
技能実習や特定技能の在留資格をもつ外国人が2025年4月から訪問介護を担えるようになりました。1年以上の実務経験が求められ、一定期間は責任者が同行して訓練する必要があるなどの条件が厳しく、滑り出しは低調となってます。人手不足に苦しむ現場を外国人材は救うことができるのでしょうか。
1 外国人スタッフのいる介護職場
東京都東村山市の住宅街に強度行動障害のある10〜40代の男性4人が暮らすグループホームがあります。日中は7人、夜間は5人程度の職員が介護します。うち2〜3人が外国人のスタッフです。
「利用者との日本語の会話に苦労する場面もあるようだが、相手の表情をよく見て気持ちをくみ取ってくれる」とホーム長は働きぶりを評価します。
2 介護業界における外国人雇用の現状
介護業界の外国人雇用は複雑です。主にインドネシアやフィリピン、ベトナムなどとの経済連携協定(EPA)に基づく受け入れ、介護福祉士となり在留資格「介護」を取得した人の雇用、技能を学ぶのを目的とする技能実習制度そして人手不足対策の特定技能制度の4通りがあります。
施設が近くに同僚がいるが、利用者宅での訪問介護は体調急変時などに1人で対応しなくてはならなくなります。1対1の環境でハラスメントを受けやすいとの懸念もある。日本語能力が高いEPAや介護福祉士の外国人に限定されていました。
3 現状の問題への解決策
人手不足に悩む業界側の声をうけ、25年4月に技能実習や特定技能にも訪問介護が解禁されました。このグループホームは洗い物、洗濯、掃除などの業務にあたっている特定技能の外国人に26年春から個人宅で訪問介護をしてもらおうと研修を進めています。代表は「さらに働き手が不足すれば外国出身者に頼らざるえないのは明らか。今から積極的に取り組む必要がある」と話しています。
4 4月からの申請状況
訪問介護の事業所は全国に約3万7000カ所あります。技能実習、特定技能の就労を申請したのは25年12月時点で474法人でした。複数の事業所を抱える法人もあるが今のところ低調といえます。
理由については、要件の厳しさが一因にあります。厚労省は検討会での議論を踏まえて訪問介護業務の研修をする、職場内訓練(OJT)として一定期間は責任者などが同行する、外国人材に業務内容を丁寧に説明しキャリアアップ計画を作る、ハラスメント防止の相談窓口を設置する、不測の事態が起きた場合に対応できるよう環境整備するとの条件を設けてました。
5 政府の有識者会議
技能実習・特定技能の在り方を検討する政府の有識者会議でも慎重な運用を求める声が上がり、1年以上の実務経験を必須とする条件が上乗せされました。
介護業界の中で訪問介護は特に人手不足が深刻化しています。24年度の介護労働実態調査で「大いに不足」「不足」「やや不足」の合計が83.4%に上りました。介護職員(69.1%)やサービス提供責任者(30.9%)を大きく上まわります。実地訓練のため先輩スタッフを付けたり、育成計画を作ったりする余裕は現場に乏しいです。
6 今後の課題
介護訪問で人材を確保しにくい背景には、待機や移動時間を含む労働実態が制度上評価されず、安定的な収入を確保しにくいという構造があります。外国人材から選ばれるには、国籍を問わず処遇を改善する必要があります。
7 まとめ
訪問介護に外国人材が活用できることとなりましたが、各業者は条件が厳しいなどから様子見が続いているのではないかと思います。また、介護報酬などが低いのもありますので、待遇の改善などを進めていく必要があると思います。


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