経産省、設立後押し、海外(台湾、韓国)参考に
大学企業お抱え学科設立
1 設立の概要
経済産業省は「企業お抱え」の大学学科や研究科の設立を後押ししています。企業が運営や設備整備の費用を負担してカリキュラム作成に関わるほか、研究者を教員として派遣したり、学生にインターンの機会を提供したりします。卒業後の採用を可能にし、実務的なノウハウを備えた即戦力人材の育成につなげます。
企業と大学で、育成したい人材や求める研究成果などの目標を元にオーダーメードのカリキュラムを作成します。大学が新設し運営する主体となり、必要となる資金は国からの補助金や企業の寄付金を活用するとのことです。
2 予算の編成
2026年度の当初予算案と25年度補正予算に企業と大学の共同研究を支援する費用として盛り込んだ計125億円の一部を充てます。産学連携の学科新設を優先的に採択して、研究拠点の整備や共同研究の費用を1件あたり最大で10億円補助します。補助に加え10年程度の資金確保を求め、早ければ2027年度の新設を目指します。
3 私立大も対象
国公立大学だけでなく、私立大も対象となる。理系大学院の博士課程などを念頭においています。具体的分野は大学が立地する地域に根付いている産業や、企業側の需要に合わせて検討してもらいます。半導体企業が立地する北海道や九州では、地元大学での人材育成への需要が高まっています。
4 企業のメリットとは
企業は教員として研究者を派遣します。大学との共同研究で、企業単独では難しい先端分野の深掘りや競争力の向上につなげられます。また、実務的な知識を教えることでビジネス面のノウハウを備えた即戦力人材を育てられるようになります。
所属する学生の卒業後は、連携する企業への就職を可能になります。企業は奨学金の支給やインターンの機会の提供などを通じて、採用活動を有利に進められるメリットがあります。
企業が大学に研究員を派遣したり寄付講座を開いたりすることはありますが、学科や研究科の設立や運営に資金を出すことは珍しいです。経産省によると、国内では事例がまだありません。
5 海外の事例は
台湾や韓国に先進事例があります。台湾では台湾大学や陽明交通大学が台湾積体電路製造(TSMC)などの企業と連携して半導体に関する研究院を設けています。企業や行政機関が資金を拠出し研究設備を整備しています。
台湾では半導体製造の拡大で人材が不足しており、企業側のニーズが高く、自社の研究開発部門でのインターン機会も提供して実務経験を積ませています。卒業後はTSMCなどの半導体企業に就職する場合が多いです。
韓国では法律に基づき、サムスン電子やSKハイソニックス、現代自動車が大学と連携して学科を設立しています。半導体や自動車などの分野が多く、所属する学生へは卒業後の内定を確約する企業もあります。
6 まとめ
大学は高い研究力や将来性のある技術シーズ(種)を持つものの、ビジネス化するための知見は十分ではない場合が多く見られます。企業は事業化のノウハウがあっても、単独で高度な研究人材を育てるのは難しいです。連携した学科の設立を通して両者の不足する部分を補い、先端技術の早期の社会実装や人材育成につながる可能性があります。
ただ、教育研究の場そのものを企業に任せ、大学の自治など根底を揺るがす可能性もあります。経済産業省はじめ文部科学省とも連携し、成果や問題点を逐一確認する必要があります。


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